2/9のtwitterで市中肺炎での発熱で血液培養は重症・予後に優位差も相関もないと呟きましたが、それについて少し深く掘り下げます。そもそも市中肺炎とは病院外で日常生活していた人に発症する急性肺炎の事。
市中感染症という言葉がある通り、社会生活をしている健康人に起こる感染症になります。
ではでは、市中肺炎に血液培養が必要か?との話になりますが
血培が陽性となる頻度は高くて25%程度らしい(イギリス呼吸器学会市中肺炎ガイドラインより)
じゃあ低くて、どれくらいなのかと言うと約6%(アメリカ胸部医学専門雑誌より)
そして、このアメリカ胸部医学専門雑誌でPSIを見ると一定の相関がない事が解っている。
(PSIとは市中肺炎診療において予後判定に用いられる分類)
(画像が荒くてスミマセン、画像加工勉強します・・・汗)
ちなみにCURB-65はイギリスの基準、A-DROPはCURB-65を参考に日本呼吸器学会が作った基準。
右の図がPSIのクラス分けなるが、これでいうPSI class Ⅰであっても血液培養を取ると5~8%で陽性反応が出る。つまり、死亡率0.1%の軽傷であっても5~8%は陽性が出るということになる。
血培が陽性になる頻度が約6~25%であることを考えると、陽性だからといって重症かというと、そうではないのがわかる。では予後は、どうなのかというと有意差もなかったとなっている(アメリカ胸部医学専門雑誌より)
では血培採取が推奨されている場合はというと
・重症市中肺炎
・特定の状況下の患者
と日米3学会市中肺炎診療ガイドラインで推奨されている。
では重症市中肺炎の基準はというと
①呼吸数≧30回/分 P/F ratio≦250 体温<36℃ 複数の肺葉湿潤影 意識障害
BUN≧20 WBC<4000 PL<10万
②挿管患者 敗血性ショック
②が1つ、または①を3つ満たす場合は重症市中肺炎となる。
特定状況下は
ICU 空洞性湿潤影 脾症 アルコール乱用 胸水 重症性慢性肝疾患 好中球減少 尿中肺炎球菌抗原陽性
重症市中肺炎で血液培養が推奨される理由としては
・肺炎球菌以外の起因菌である可能性が相対的に高い
・多くがリスク因子とオーバーラップしている
とされている。
まぁ、難しいけど普通は血培なんて、いらねーよ。
でも重症例は血培取らないといけないよってこと。
大事なのは発熱=血培という固定概念を変えること。
なぜ必要かを考えることが大事。